名古屋市立大学大学院 人間文化研究科/人文社会学部 現代社会学科 菅原真研究室

菅原ゼミナール(専門演習)

2014年度のゼミ活動

1.通常のゼミ活動

名古屋市立大学人文社会学部・菅原ゼミは、2009年度から活動を開始し、2014年度で6期目を迎えました。2014年度も希望者が多く大所帯になったため、セミナー室を715セミナー室に変更して、ゼミ活動を行っています(毎週木曜日3・4時間目)。

前期の3時間目は、3年生がレポーターになって、例年通り、辻村みよ子先生の 『憲法〔第4版〕』(日本評論社、2012年)の人権部分の学習を行いました(報告、質疑応答、論点の議論)。後期は、長谷部恭男・石川健治・宍戸常寿編『憲法判例百選Ⅰ〔第6版〕』(有斐閣、2013年)をテキストに、判例研究を行っています。前期の4時間目は4年生がレポーターで、卒論テーマに関する研究発表(書籍の紹介など)および「時事報告」を行いました。後期は、卒論の中間発表会を行っています。

2014年度後期のゼミ生は、3年生8名(男性5名、女性3名)、4年生6名(男性1名、女性5名)です。名古屋大学法学部研究生の留学生1名もゲストで参加しています。3年生のうち1名は現在、交換留学生として韓国のハルリム大学で学んでいます。

ほかに、社会人の大学院生(修士課程)1名(女性)も研究に頑張っています。

2.ゼミ学習旅行

本年度は、9月に熊本・水俣に学習旅行に行きました。
ゼミ生による熊本ゼミ旅行の簡単な紹介は、人文社会学部のブログでご覧いただけます。

以下は、私が記した報告集の巻頭言です。

「2014年9月10日(水)~13日(土)の4日間、菅原ゼミは熊本・水俣に学習旅行に行きました。私にとって、水俣はずっと訪問したいと考えていた場所の一つでした。それは、1987年秋に遡ります。当時、18歳の大学1年生だった私は、レジャーランド化していた大学の学園祭における唯一の「硬派」企画だった教養「法学ゼミ」主催の水俣病講演会に参加しました。そこで大変な衝撃を受けました。講演者は、当時新潟水俣病第二次訴訟で奮闘しておられた弁護士の坂東克彦先生と医師の関川智子先生。坂東先生の解説付きで上映された伊藤蓮雄水俣保健所長撮影の白黒映像に私は目を疑いました。そこには当時の水俣の様子、水俣病の劇症患者さんや猫実験の様子が映し出されていました。「水俣病は中学・高校と授業で触れたけれど、企業による利益優先の論理は、こんな人間破壊をこの日本社会にもたらしていたのか。」―衝撃、そして生命を破壊するものへの怒りが湧きました。この事件が日本社会のどのような構造のなかで生じたのか、なぜ今も裁判が続いているのか。私が真剣に社会に向き合うようになったのは、まさにこの時だったと思います。この講演会の時以来ずっと水俣の現地を訪れてみたいと考えてきましたので、今回、27年ぶりに夢を叶えたことになります。ゼミの皆さん、ありがとうございました。
 水俣市月浦で2歳11か月、5歳11か月の二人の女児の発病を契機に水俣病が「公式確認」されたのは、1956(昭和31)年5月のことですから、間もなく60年目を迎えようとしています。今回のゼミ旅行では、水俣病の関連施設や重要スポットを回りましたが、私が知る水俣の面影は、現地にはほとんど残っていませんでした。あったのは、広大な水俣湾の埋め立て地でした。そんな中で、水俣病患者の上野エイ子さん(語り部)のお話はぐっと胸に迫りました。現在、環境問題の重要性は多くの日本国民の認識となり、水銀に関する水俣条約も採択されました。しかし日本と世界の環境問題は山積です。水俣の教訓は果たして生かされているのでしょうか。私たちはもう一度、水俣からたくさん学ぶことがあると思います。ゼミ員の皆さん、さらに学んでいきましょう。
 今回のゼミ旅行では、旅行委員を中心に企画・運営を頑張ってくれました。「よく学び、よく遊べ」という菅原ゼミのスローガンどおり、熊本での観光やホテルでのゲーム、車中での語らいは、どれも楽しいものでした。名古屋市立大学人文社会学部・菅原ゼミは、これまで新潟、広島、新潟、沖縄、韓国・ソウル、そして熊本と学習旅行を行ってきましたが、今年の旅行は、私にとって、ゼミの皆さんとの想い出深い大切な旅行となりました。本当にありがとう。そして、旅行の際にお世話になった方々、特に、水俣市立水俣病資料館・語り部の上野さん、国立水俣病総合研究センターの本多俊一さん、熊本学園大学のムヒナ・ヴァルヴァラ先生、枦山茂樹先生、熊本大学法学部の中嶋直木先生にも、この場を借りて感謝申し上げます。」

(『2014年菅原ゼミ熊本旅行報告集』巻頭言「2014年度菅原ゼミ熊本学習旅行」(2014年9月))

3.卒業論文・修士論文・博士論文

卒業論文タイトル
  • K.T.「監視社会とプライバシー―監視カメラの課題と展望―」
  • T.K.「グローバル化における無国籍者―可視化されない人々―」
  • T.S.「冤罪をなくすために―取調べの録音・録画―」
  • M.A.「死刑制度と死刑存廃論―死刑の合憲性と政策上の是非に関する考察―」
  • Y.C.「現行のいじめ対策の意義と課題」

いずれも「卒論審査報告会」において、昨年度に引き続き、審査委員の先生方から高い評価をいただくことができました。 なお、2015年度は、新4年生9名が卒論を提出予定です。ほかに、院生1名が修論を執筆中です。

4.その他の活動

  • 新歓コンパ(2014年4月24日)
  • 集団的自衛権に関するゼミの議論が取材され(6月19日)、CBCテレビのニュース報道番組「イッポウ」で放送(6月20日)
  • オープン・キャンパスで午前・午後の2回、公開ゼミ「地下鉄の女性専用車両の是非」(7月19日)
  • 菅原ゼミOB・OGとの交流会(7月19日)
  • 愛知県弁護士会の先生方から御協力をえて、名古屋地方裁判所および名古屋簡易裁判所で「裁判所見学・裁判傍聴」(8月28日、9月17日)
  • 熊本・水俣学習旅行(9月10日~13日)
  • 行政書士の先生と語る会(10月8日)
  • 特別ゲスト講師・稲生昌三氏をお招きした特別講義「現代人権論」に参加(10月15日)
  • 第1回「学生と学長との意見交換会」に菅原ゼミの4年生(卒業年次生)1名推薦参加(10月27日)
  • 市大祭・同窓会ホームカミングデー、菅原ゼミOB・OG会(11月15日)
  • 卒論提出を祝う会(2015年1月9日)
  • 憲法問題講演会(名市大9条の会主催、名古屋市立大学教職員組合後援)/菅原「最終講義」(3月5日)
  • 追い出しコンパ(3月8日)
  • 卒業式(3月25日)

2013年度のゼミ活動

1.通常のゼミ活動

4期生と5期生が集った2013年度は、毎週木曜日3・4時間目に時間変更がなされ、706セミナー室にてゼミ活動を行ないました。

前期の3時間目は、辻村みよ子先生の『憲法〔第4版〕』(日本評論社、2012年)の人権部分の学習を行いました(報告、質疑応答、論点の議論)。4時間目は「時事報告」で一週間の重要な新聞記事を切り取り、それを報告するとともに、論点を設定して議論しました。

後期の3時間目は、原則として判例研究を行い、月に1回ディベートを実施しました。ディベートのテーマは、「地下鉄の女性専用車両」、「ヘイト・スピーチ」、「死刑制度」で、事前にしっかりと準備してきたこともあり、白熱した議論が行われました。4時間目は、卒論・修論の中間発表会を行いました。

2013年度のゼミ生は、3年生6名(男性1名、女性5名)、4年生3名(女性3名)、大学院生(修士課程)2名(男性1名(TA)、女性1名)から構成されています。

2.ゼミ学習旅行

2013年度の菅原ゼミは、韓国に学習旅行に行きました。
ゼミ生による韓国ゼミ旅行の簡単な紹介は、人文社会学部のブログでご覧いただけます。

以下は、私が記した報告集の巻頭言です。

「2013年8月18日(日)~21日(水)の4日間、菅原ゼミ韓国学習旅行が行われました。菅原ゼミにとっては、初の海外旅行となりました。

私にとっては、韓国の地に降り立つのは2度目のことです。1度目は大学院生のときで、1990年代半ば、当時、韓国はアジア通貨危機のため、大きな経済的困難に直面し、大量倒産や失業が生じ、韓国はIMF(国際通貨基金)の管理下に入り、経済支援を受けていた時期でした。それから20年近く経っての2度目の訪問は、その頃と比べ、地下鉄の駅の切符売り場には日本語表記もあり、観光客も多く、大都市ソウルの街並も全体としてかなり明るく、人々が活き活きしている印象をもちました。駅でウロウロしていると、日本語変換の携帯をもって「どこの駅に行きたいのですか」という画面を示してくれた韓国人の女の子がいて、旅行者に対する優しさに感動しましたし、南ソウル大学の学生との交流では、お酒を飲むときに顔を横にして年配者に失礼のないようにする風習が健在だったりもして、新しいものも古いものも含めて、韓国の「現在(いま)」を色々と実感できる旅行でした。

経済力・国力が落ち、領土問題や従軍「慰安婦」問題などが国際政治の舞台の正面に出てくる中で、ここ数年の日本は、内向きで排外主義的な議論が台頭し始めています。在特会や極右によるヘイト・スピーチを伴った新大久保などコリア・タウンでのデモ行進には、さすがに国民の批判も高まっていますが、日韓・日中関係は大幅に冷え込んでいます。そんな中、戦争を望むような各国指導者の声には驚きを禁じ得ませんし、看過できません。

私自身は、EUを見習い、東アジアを平和の海にしようと企図する「東アジア共同体」構想の方向性を基本的に支持します。近隣諸国間でもっと文化・学問交流を活発にする必要があると感じています。現実には色々な問題点が横たわっていて、日本の歴史忘却主義、中国の大国主義、韓国の民族主義といったそれぞれの問題点が克服されねばならないように思います。日本人は、もっと歴史に誠実に向き合う必要があると痛感しています。「歴史に学び、未来をつくる」、これが私たちにとって大事なことです。

今回のゼミ旅行では、韓国憲法裁判所憲法研究員のソ・ウニョン先生、国民大学校国際学部日本学科外国人招聘講師の安藤純子先生、在大韓民国日本国大使館の別所浩郎特命全権大使閣下、同大使館公報文化院の山後貴弘副院長、南ソウル大学留学中の真野ひかるさん、南ソウル大学で日本語を学んでいる学生の皆さん方に特にお世話になりました。記して御礼を申し上げます。そして、企画段階からこの報告書づくりまで、旅行委員を中心にゼミ員がそれぞれ役割を果たし、頑張ったことを高く評価したいと思います。とても大変楽しい旅行になりました。これを機に、ゼミの皆さんがさらに歴史を学び、平和で友好的な東アジアの構築のために活躍できる人間になられることを切に希望しています。」

(『菅原ゼミ学習旅行報告集』巻頭言「菅原ゼミ韓国学習旅行」(2013年10月))

3.卒業論文・修士論文・博士論文

卒業論文タイトル
  1. U.M.「日本国憲法と改正手続き」
  2. Y.K.「フランスの育児休業制度―個人の権利としての育児実現への展望―」
  3. Y.R.「市民の司法参加の課題と展望―韓国の国民参与裁判制度との比較から―」
修士論文タイトル
  1. S.Y.「同性婚を法認する諸外国と日本国憲法第24条の解釈」

4.その他の活動

  • 自主ゼミ(行政書士・宅地建物取引主任者試験対策勉強会)→宅建2名合格
  • 新歓コンパ(2013年4月25日)
  • 石巻山(愛知県豊橋市)ハイキング(7月13日)
  • パンフレット『菅原ゼミ旅行in 韓国2013』印刷・発行(8月2日)
  • 韓国学習旅行(8月18~21日)
  • オープン・キャンパス 菅原ゼミ展示(8月3日)
  • 菅原ゼミ主催「裁判見学」(名古屋地裁・愛知県弁護士会、9月18日)
  • 『菅原ゼミ(憲法ゼミ)学習旅行報告集』印刷・発行(10月3日)
  • 「法学」特別講義ゲスト講師・児玉晃一先生(東京弁護士会)歓迎会(10月7日)
  • 宅建受験お疲れ様会&院生Sさんお誕生日会(10月20日)
  • 卒業アルバム撮影(10月24日)
  • 国際人権法学会第25回研究大会アルバイト(名古屋大学、11月23~24日)
  • 人文社会学部パンフレット写真撮影(12月12日)
  • 忘年会(12月19日)
  • 卒論・修論提出を祝う会(2014年1月9日)
  • 台湾卒業旅行(2月18日~20日)
  • 追い出しコンパ(3月7日)
  • 卒業式・修了式(3月25日)

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