講義・演習の概要
「日本宗教史(文化の理解4)」 日本宗教史の入門講座。6世紀の仏教伝来から話をはじめ、15世紀後半の一向宗の活動まで仏教史を中心に説明していきます。中学高校で習った日本史の知識をくつがえすような近年の学説を多数紹介していきます。たとえば、仏教伝来は538年説も552年説も信用できず、今日、年代は確定できていない。神仏習合思想は仏教で生まれたもので、日本の神仏習合は中国のそれを輸入・受容したものである。鎌倉時代の仏教の中心はいわゆる鎌倉新仏教ではなく、旧仏教であった。親鸞は悪人正機説は説いておらず、法然や貞慶の説である、などです。 [専門科目] 「日本社会史TU」 日本社会の歴史を法や社会規範の歴史という視角から学んでいきます。Tは古代。最初に「日本」という国号や「天皇」という君主号がいつ、どのような事情で生まれたものなのかを史料に基づいて考えていきます。倭から日本へ、大王から天皇へ、という問題です。次に『魏志倭人伝』『隋書倭国伝』から倭国の「法」(まだ不文法でした)の特色を学び、また聖徳太子作とされている憲法十七条は実は太子の作とは考えられないという今日の有力学説を紹介します。聖徳太子虚構論の紹介です。さらに律令法が本当に当時の日本社会で機能していたのかどうかを、実証的に考えていきます。 「生活文化史」 日本の生活文化史を学ぶ、特殊講義です。生活文化史というと、衣食住の歴史をイメージしますが、ここでは民衆文化史、民衆宗教史という観点を中心に、前近代の人々の信仰の様子や、女性と仏教の問題などを取りあげていきます。近年の女性史研究の成果についても、私なりの観点から紹介していくつもりです。合否・成績は、レポートを予定しています。 [演習] 「演習TU」 史料講読をやります。三四年生合同でやっております。ここ二三年ほどは、六国史の一つ『日本三代実録』を読んでいます。漢文史料で、最初はとまどいますが、そのうち読めるようになります。テキストは新訂増補国史大系を用いています。参加者は順番で担当者となり、自分の当たった記事について調べてきて、レジュメを作成して発表します。現在四年生は三人、三年生は七人います。 [大学院] 「日本古代史研究AB」(修士課程) 「日本文化論特殊講義(日本宗教史)」(博士後期課程) 史料講読を基本とします。現在は円仁の伝記である「慈覚大師伝」を読んでいます。来年度は何を読むかは未定。受講生の顔ぶれにもよります。 |